あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 「一年の計は元旦にあり」ということで、

 あんまり立てたことのない計を、今年は立ててみました。

 

 今年は、医学のほうでは、本の出版のために、今日から文章を書き始めました。年末に某出版社の方から、拙著「からだとこころの環境」の文庫化を依頼されたのですが、5年前の本なので、新しく書いてみることにしました。

 音楽も2つの共同作品のリリース(ベルギーのStijn Hüwelsとの作品と、ミュンヘンの
Daniel Bürknerの作品への参加)が決まっていて、他にも同時進行で1つの作品を制作中です。10年ぶりのソロ作品も完成させたいと思っています。「流すことで静寂の訪れる音楽」をリリースする「つゆくさレコーズ」も今年中に形にしたいと思っています。

 本のほうは、まだ出版されるかわからないですが、今日書いてみた「まえがき」を掲載します。おそらく出版されるころにはだいぶ書き変えて原型をとどめていないかもしれないし、こういう本は出せないと却下されてしまうかもしれませんが、元旦なので、掲載してしまいます。今年はこの本が出せたらいいなぁ〜と思っています。

 前著に関しては、amazonなどで不当な値段で中古販売されていますが、あと数冊、当院にもあるので、定価で販売しておりますので、お声をおかけください。

 以下は、今年出したいと思っている本のまえがきです。大して推敲もしていないので、駄文・長文ですが、どんなことを書こうとしているのかは、伝わるのではないかと思います。暇つぶし程度で読んでいただけたら幸いです。

 今年はいろいろ形にする年にできればと思っています!

 よろしくお願いいたします!

 

まえがき

 

 私は西洋医学の教育を受け、救急医療(三次救急)の現場に携わりながら、免疫学と東洋医学科の教授である高橋秀実先生と、中医師である菅沼栄先生に師事して、東洋医学と免疫学を学んできました。西洋医学と科学の驚異的な発展を目の当たりにしながらも、それでも補いきれない治療を漢方薬で行っていく過程で、双方の医療の特性と限界を知りました。結果的に、東西の医学を併用することが、世界で最先端の医療だと考えるようになり、様々な経緯の中で、2014年から東京都調布市に、東西の医学を併用する診療所「つゆくさ医院」を営んでいる医師です。

 

 また、10代の頃からBeatlesに影響を受けて音楽をはじめ、2000年頃から電子音楽に没入、今ではアンビエント・ミュージックと言われる東洋思想に端を発した音楽を制作してきました。近年は「流すことで静寂の訪れる音楽」をテーマに作品をつくっています。ソロ名義やOpitope、ILLUHA、Melodiaなどというユニット名で、これまでに18枚のアルバム作品を国内外のレコード会社から発表をしてきました。科学の場にいながら、自然界からの授かりものである「漢方」という経験則に基づく医療の叡智と、科学では説明しきれない音楽の神秘の世界に触れながら、科学と非科学の世界を往来しながら生活をしてきました。

 

 そんな環境の中で、私たちのからだとこころを形成する、もっとも大きな要因である食事や水のことを、医師として、また一人の人間として、いろいろ学んできました。ガン治療の二大食事療法と呼ばれているマクロビオティックと、ゲルソン療法だけを見ても、塩や野菜の調理方法、果物などについて正反対のことを言っています。また、時代と共に私たちの食生活は大きく変化し、それらの理論が時代にそぐわなくなってきていることも感じました。ところが実際は、双方の理論ともに、多くの患者さんが、ガンからの治癒を達成している事実があり、今もその思想が受け継がれています。科学もそうですが、とくに食養生は、学べば学ぶほど、何が正解で、何が間違いなのか、そこには正解がないように見えて、途方に暮れてしまうこともありました。しかしその一方で、この世の中には、人間にとって、あるいは地球にとっての「良いもの」と「悪いもの」が、確かにあるように私の目には映ったのです。

 

 そもそも、「良い・悪い」というものは何なのか。質量保存の法則が正しいとするのならば、太陽をはじめとした宇宙のエネルギーを受けながらも、地球上の物質は絶えず循環し、その構成要素は、ほとんど変わらないはずです。それなのになぜ、良いものと悪いものが、この世には存在するのでしょうか。このことは物質世界の話だけにとどまらず、精神世界の話にも共通しています。人間の悩みのほとんどは、自分自身が設定する善悪の判断そのものに原因があります。

 

 私はいま、年齢・性別を問わず、すべての疾患の患者さんを診察しています。年間のべ1万人程度の患者さんと、それぞれ10分前後(カウンセリング時は30分程度)、年間10万分程度の時間を「病と健康」について、ひたすら話し合って考える日常を送っています。さまざまな環境や価値観の方々と話し合う中で、今のところたどり着いた世界観は、「万人に共通する正解は存在しない」ということです。

 

 これは東洋医学の陰陽理論に影響を受けています。陰と陽は互いに補足しあい、常に移ろいでいます。この本で酷評することになるであろう白砂糖や精製塩、動物性脂肪も、飢餓状態の人にとっては命を救う食べものになることもあります。この世の中に存在する物質は、そのものがある場所や時間、周囲の環境によって、良いものにも、悪いものにもなるのです。大切なことは、ある時間・ある場所にいる自分自身が、どのような状態で、どのようなものが良いものなのか。ということを認知し、行動することです。

 

 この本で僕が書きたいと思っていることは、そのような世界の中で、自分自身の心身にとって、正しい生活や良い食事とは何か。ということを考える「指標」について、西洋医学と東洋医学の両方に基づいてお伝えすることです。正解は常に、心身の反応の中に見つける方法があります。そこにたどり着くための考え方や自己観察の仕方、その際に拠りどころとすべきいくつかの指標、さらには、東西の医療の適切な選択や、良い医師の探し方がわかるようにこの本は構成されています。

 

 いまや国民病と呼ばれるまでに増え続けてしまっている花粉症などのアレルギー疾患や、高血圧症といった具体的な疾患を東西の医学の観点から考えることで、現代社会の食事や生活、科学の可能性と限界、その情報に対するあるべき姿勢などについて考えていきます。病には意味があります。これらの疾患の意味と原因、治療法や食養生について考えることで、現代社会の問題点と、今後の人類が歩み進める方位を、読者の方々が見つけるツールのひとつに少しでもなれれば、この上ない光栄です。