<双黄連>

 双黄連は、2020年に中国科学院がコロナに効果があると発表し、中国で売り切れた「双黄連内服」と同じ生薬によるものです。金銀花(きんぎんか)、黄芩(おうごん)、連翹(れんぎょう)という三種類の生薬から構成され感冒初期症状の発熱、咳嗽、咽痛痛に以前からよく使用されている漢方薬です。ているシンプルな漢方薬です。

 

<構成生薬>

 

金銀花 1.5g 黄芩(おうごん)3g 連翹(れんぎょう)1.5g

 

〜詳細〜

 

 双黄連は疏風解表、清熱解毒という作用に特化した漢方薬です。金銀花は、風熱(ふうねつ)という熱性の病邪に対して効果があります。日本ではカゼのことを「風邪(ふうじゃ)」と書きますが、それは感冒全般を意味しています。中医学での感冒は、その性質によりいくつかの分類がされます。同様に、熱をもった症状を引き起こす原因が「熱邪(ねつじゃ)」と考えられていました。黄芩は熱邪や湿邪に対抗する力があり、連翹は炎症をしずめ、排膿を促す効果があります。熱がたまった状態が強くなると、尿の色が濃くなったり、舌苔が黄色〜茶褐色になります。

 

 COVID-19では、感染初期の発熱がある時期に用いると特に効果的です。咳がある場合には55麻杏甘石湯や109小柴胡湯加桔梗石膏、軟便や食欲低下がある場合は114柴苓湯や115胃苓湯を併用するとより効果的です。また、家庭内感染を予防あるいは治療するためには、玉屏風散を一日4回程度内服します。基本的には玉屏風散+発熱したら双黄連+咳や下痢対策の漢方薬という内服が推奨されます。双黄連がない時は銀翹散がおすすめです。

 

 1990年代後半から現代医学の薬理研究では、「双黄連」には、抗菌作用、抗ウイルス作用、免疫力を高める作用等があると報告されています。インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、帯状疱疹ウイルスを抑制するために、中国の医療現場では早くから西洋薬と共に中西結合医療(統合医療)として、「双黄連」が多く用いられています。また、2003年のSARSが流行した時にも、西洋医学の治療と東洋医学の治療を合わせた統合治療に、玉屏風散とともに用いられ活躍した漢方薬としても有名です。 

 

<内服方法>

 ・1日1〜2袋を800ml〜1L程度の軽く沸騰したお湯に入れ蓋をし、弱火〜中火で30分程度煮詰めたものを2〜4回程度にわけて、可能な限り空腹時、もしくは食前・眠前などにご内服ください。

 ・発熱やからだの熱感がなくなってきたら、内服を終了してください。逆に熱感が持続している場合は、1週間程度までは、内服を継続しても構いません。

 ・副作用については、他の漢方薬同様、吐き気やむくみなど様々な症状の可能性があります。発熱や熱感という症状の改善が見られず、副作用ばかりが目立つようであれば、内服を中止し、医師に相談するか様子をみてください。

 ・副作用は瞑眩と呼ばれる好転反応の可能性もあります。

 

双黄連をおすすめしたい方

 

・熱性の感冒の初期(1週間以内)で、発熱があり体が熱い状態

  (長期的な感冒で熱感がない場合は向いていません)

・入浴などの温まった時に増悪する皮膚や目のかゆみ、アレルギーの増悪時

・突然の熱性の感冒に備えておきたい方

・インフルエンザウイルス、肝炎ウイルスなどの発熱

(COVID-19に関しては、他のワクチンや治療薬同様、科学的根拠はまだ確立されていませんが、中医学的臨床からは明らかな改善例が多数報告されています。)

・帯状疱疹ウイルスの初期、疼痛が強い場合に特に有効

 (高齢者でない体力が充実している実証タイプの帯状疱疹は疼痛が強くなります)