インフルエンザに関して

 

 冬になるとインフルエンザの話題が多く出ますが、インフルエンザ桿菌とインフルエンザウイルスとがあり、話題になるのは後者のウイルスの方です。

 インフルエンザウイルス(後述はインフルエンザ)のA型というのは、とても変化しやすいウイルスで、感染して他の人に移る時には既にその姿を変えてしまっていることも多いほど変化しやすいウイルスなので、人間は常に変化するそのウイルスに対応する抗体を作れないため毎年のようにインフルエンザが流行します。

 まず、インフルエンザに関して覚えておいていただきたいことは、通常であれば「何もしなくても治る」ということです。確かにトリインフルエンザのような危険なウイルスに変化する可能性もあるのですが、現在のところはそういったウイルスの心配はありません。

 では、インフルエンザに罹ったらどうすれば良いのか、それはまず「熱をちゃんと出す」ことです。風邪の項でも書きましたが、熱を出すのは「ウイルスを倒すため」です。解熱後1週間程度は体内に存在すると言われていますが、2、3日の発熱で通常はウイルスの大半は死に、熱も下がります。

 そのために、最初は麻黄湯や葛根湯などを用いて、熱をしっかりと出し、汗をかくことが大切になってきます。熱の出し方、内服時の注意は風邪の項をご参照ください。食欲不振や不眠などには竹茹薀胆湯が効きます。

 この熱を出すべき時に解熱剤などを使って熱を出さないと、熱に弱いウイルスにとっては都合が良いのでウイルスは長く感染し、病気を長引かせ、重症化させます。タミフルなどの抗ウイルス薬は通常は必要ありません。実際にタミフルの使用量は世界のシェアの8割程度が日本です。日本はインフルエンザに対して過剰反応しすぎている部分があることは否めません。ワクチンにしても、通常の健康な人は摂取する必要がありません。ワクチンはインフルエンザの感染を防ぐ効果はないからです。それよりは補中益気湯や十全大補湯などの補気剤と呼ばれるものを内服した方が予防効果があります。また、家族や友人にインフルエンザの方がいて予防をしたい時にも補気剤は有効です。出来れば医師に相談して処方を受けてください。

 

https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1412/09/news030.htmlより転載

 

 また、インフルエンザはノドの奥で増えますので、イソジンや出来れば桔梗湯などのうがいによって、予防効果も治癒効果も高まります。

 ただし、通常であれば2、3日、漢方薬を用いてしっかりと発熱すれば1、2日で解熱します。発熱や食欲不振、全身倦怠感などの症状がそれ以上続く場合は他の病気や、二次感染の可能性もあるので、内科を受診してください。漢方薬に加えてタミフルを使えば、より早く治りますが、漢方薬だけでも1、2日で治ることが多いこと、副作用があること、そして何より本当に恐ろしいウイルスが出た時のため、あるいはタミフル耐性のウイルスの出現を防ぐためにも、人類はそれを備蓄しておく必要があるとも言われています。もちろん、免疫状態の弱い状態にある方(高齢者やステロイドなどの免疫抑制剤を内服している方など)はタミフルも摂取した方が良いでしょう。その判断は医師によりますが、当院ではあまり出しません。

 ちなみに僕は年間100人近いインフルエンザの患者さんを診療して来ましたが、10年以上前にワクチンを摂取していたにも関わらずインフルエンザに罹ってから、ワクチンの摂取をやめ、補気剤と葛根湯の頓服で、マスクもしていませんがインフルエンザを発症したことはありません。マスクは口呼吸になってしまうので、感染予防に重要な鼻呼吸ができません。(マスクについて参照ください。)

 適度なうがいと手洗い、補気剤と葛根湯、適切な食習慣を維持していれば、インフルエンザは今のところ怖い病気ではないことをご理解ください。

 また、インフルエンザの診断には、鼻腔内および咽頭の検査で判明しますが、発熱から12時間以降のウイルスが増えた時期でないと陽性反応が出にくいと言われています。診断書が必要な方はその時間に病院を受診しましょう。インフルエンザは飛沫感染といって、唾液を介して飛び散ることによって感染しますので、咳をしている場合はマスクをしてください。