<脳の陰性化>

 5000年前の皇帝「伏羲(フッギ)」という人が、万物は陰陽のバランスで成り立っていると言った陰陽理論が東洋医学の根本になっています。人間には陰陽のバランスが重要で、陽は太陽や根菜類に代表されるように宇宙から地球の方へ収縮していくエネルギー、陰は月や草木に代表され地球から宇宙へ拡散していくエネルギーです。社会生活に戻る活動は陽性で、休息の時間、夢を見る時間は陰性と言っても良いでしょう。

 本来人間の脳は日中の社会活動で陽性化され、夜になると静かな家に入り陰性化されます。生命力の源でもある「陰」は夜に作られます。現代人の脳の生活はテレビやインターネットといった活動によって陽性化されている時間がとても長くなっており、健康にとっては日中に体験した現実やストレスなどの陽性のものを夜に陰性化する必要があります。現代社会では、その自覚をしっかり持って行かなくては心身のバランスが崩れやすくなり、陽性化したままの脳で見る夢は現実的なもののままになってしまいます。ですから、夜寝る少なくとも1時間前はパソコンやテレビの電源を落としましょう。電源を切った瞬間から、脳が陰性化されることを実感できると思います。

 陰性化は夜にだけ行うというものではありません。当院では待合室の環境を可能な限り良い状態にすることに努めています。もちろん義務ではありませんが、可能であれば携帯電話の電源を切って、音楽や香に意識を向け、本を読むなどして社会と脳との連続性を一度切り替えてみてください。現代生活の中で、自分が無意識のうちに束縛されているものに気がつくこともあるかもしれません。そういったことも、健康を維持するにはとても重要なことだと当院では考えております。