いまいろいろと対症療法について、書いています。
つゆくさ医院で極力減らすことを目標にしている対症療法薬
推奨しない対症療法の法則も覚えておきましょう。基本的には、長期的に使用せざるを得ない対症療法薬、特に化学物質のような陰トロピーの高い薬はおすすめできません。具体的には、日本でもっとも処方数の多い治療薬である高脂血症薬、降圧薬、胃粘膜保護薬の長期的内服には注意しましょう。また長く使う西洋薬の中で、生活改善をしながらはじめの段階だけ使ってなるべく早く減らすべき治療薬は糖尿病薬です。糖尿病に関しては、放置すると血管の不可逆的な障害が進んでしまうために、止むを得ず使用することが多いです。
医師にこれらの薬を処方されたときは、「これはいつかやめられる薬ですか?」と聞いておきましょう。「なかなかやめられないことが多いんだよねぇ〜」というのがよく聞かれる答えだとは思いますが、多くの医師は、それで抑え続けるしかないと思っているので、患者さん側からしっかりと「薬をいつかやめたい!」と伝えないと、生涯にわたって飲み続けることになってしまう薬たちです。基本的に高血圧や高脂血症は、多くの医師が、治せるとは思っていません。さらに、本気で治そうとすると、医師の仕事が増えるだけなので、ほとんどの医師は「塩を控えろ」というぐらいです。そういう医師は化学塩と自然塩のちがいすらわかっていません。(塩の章参照)
また、するどい質問をする患者さんは、大抵の場合、医師に嫌がられますが、嫌がるというのは、その医師が不得意な部分を指摘されたから。ということの裏返しです。それを確認するためにも、しっかりと質問はしましょう。診察をするたびに不機嫌になり続けている場合は、医師に問題があるか、相性が悪いので早めに病院を変えましょう。少しでも治そうと思ってくれている医師は、そういう質問がくる患者さんに対し、普通の患者さんより慎重に向き合うようになります。
高脂血症薬
日本では年間3000億円を超える、基準値が厳しくなればなるほど売れる薬です。三大栄養素のうち、脂質は現代科学で最もその役割の解明が遅れているもので、この薬がどこまで必要なのかはまだまだわかりません。アメリカでは、LDLコレステロールの基準値は、薬物治療開始ラインが190mg/dl、生活習慣の改善目標値が160mg/dl。それ以下であれば、生活習慣の見直しも不要とされています。これに対して日本の特定健診では、LDLコレステロール120mg/dl以上を「保健指導」、140mg/dl以上は「受診勧奨」となっています。そもそも、悪玉コレステロールも善玉コレステロールも同じもので、輸送タンパクが違うだけです。本来循環しているバランスが大切なのですが、高脂血症薬は、悪玉コレステロールの産生を部分的に抑えているだけで、数値は改善しますが、循環はかえって悪くなります。つゆくさ医院では、家族性の高脂血症でLDL180mg/dl以上の方に限り、食養生と漢方薬の併用をしながら高脂血症薬を使用しています。それで大体の方が、基準値内に回復されます。中性脂肪の基準値も日本では150mg/dl以下ですが、アメリカでは1000mg/dl以下です。
特に日本人の中高年女性は、女性ホルモンが下がり、コレステロール値が上昇しやすいのでLDL180mg/dl以上でなければ、早めの夕食と、夕食時の糖質制限だけで問題ありません。
東海大学の大櫛陽一名誉教授の研究では、伊勢原市の約2万5000人を対象とした平均8.1年間の追跡調査では、男性はLDLコレステロール値が高くても死亡率に変化はなく、むしろ100mg/dl以下は死亡率が上がるという結果が出ました。女性も120mg/dl以下で死亡率が上がったそうです。心筋梗塞の発症率は、家族性高脂血症といわれるごく一部の人を除けば、コレステロール値が高くても上昇しないことが分かっています。
大櫛先生の提唱する基準値は最上部のオレンジ色の線です。
(https://style.nikkei.com/article/DGXNASFK0500P_V00C14A2000000/?page=3 より転載)