「健康でありたい」ということは、とても多くの人が願うことです。

では、その「健康」というものは、

具体的にどのような状態のことを指すのでしょうか?

 

 

 「病」のない状態が「健康」だとすれば、「病」と「健康」の境界は一体どこにあるのでしょうか。苦しみ始めたら、それが「病」だという方もいます。例えば、悪い細菌を飲み込んでしまっても、嘔吐しないことが「健康」だということになってしまいます。インフルエンザで高熱を出して苦しむのは若い元気な方です。高齢の方や免疫力が弱い方は、高熱によってウイルスを殺せないので、「病」は長期化し、重症化してしまいます。

 不安や抑うつという不快な感情も、人間にとっては重要な感情です。不安がなければ崖から落ちてしまうでしょう。抑うつという感情がなければ、無駄な行動をいつまでも続けてしまいます。ところが一方で、その感情が強すぎると、不安障害やうつ病という「病」になってしまいます。どこからが「病」というのは、誰かがつくった診断の基準でしかありません。

 

 当院では、自分に起こった不調を、自分自身で修正できなくなった状態を「病」であると考えています。本当の意味での「健康」になるためには、自分自身で修正できる力(自己修正能力)を獲得しなければなりません。薬で治しているだけでは、すぐにまた「病」になってしまうか、ずっと「病」になってしまうのです。

 

 すべての医療は、患者さん本人が自己修正能力を獲得して発揮するための手助けでしかありません。当院では、患者さん自身が自分の心身の特徴を知り、その体質や性格に合わせた生活や食事の改善方法を知ることで、自分の不調を自分自身で修正できるようになっていただくことを医療の目標としています。