「政府」と「個人」の違い
新型コロナウイルス(COVID-19)の報道をみていると、本当に大切なことは何なのかということを、見失っているように感じます。3/11の震災の時にも感じたことですが、こういった危機のときにみなさんにまず知っていただきたいことは、「国がやるべきこと」と「個人がやるべきこと」は全く違うということです。
危機管理において、国がすべきことは、最悪の事態を想定し、一刻も早くデータ解析の専門家を集め、可能な限りの悲観的な情報を公開することです。さらに現在の行き過ぎた監視社会では、楽観的な発言をしにくいシステムがあるので、メディアも率直な発言がしにくい環境があります。そのため毎日毎日、悲観的な情報が怒涛のごとく注ぎこまれ、こういったストレスに耐性のない方は、日に日に具合が悪くなってしまうのです。
このことは、医療訴訟による監視が当たり前になってしまった医療の現場にも、同じ構造があります。例えば、医師から患者さんへ癌であることを告知する際、現在の医療現場では、診断名を伝えると、まずは死亡率は何%で、手術中に死ぬ確率何%、その後の抗がん剤はこんな辛い副作用の可能性があって・・・と、起こりうる最悪の自体を最初に伝えることが正しいとされているのです。それを聞かされるだけで具合を悪くされる患者さんがいることは想像に難くないでしょう。その患者さんの治療、あるいは人生にとって、いかに悪いことであっても、医師は護身のために伝えざるを得ないのが監視社会です。それと同じような状況が、延々とテレビなどのメディアから流れ続けているので、人々が暗い気持ちになり、健康を害していくのは当然なのです。ここでは、その対応法を書いてみたいと思っています。
また、感染症という問題に対して、今の世界がやろうとしていること、つまりウイルスの感染拡大を防ごうとしていることは、今の西洋医学がアレルギー治療に抱えている問題と同じ問題を抱えています。つまり、アレルギーの原因物質(アレルゲン)から人体を可能な限り遠ざけて、症状が出たらその症状を消す「対症療法」をして、とりあえず、その場をしのぐという治療です。多くのアレルゲンは、その後その人が生きていく上で死ぬまで接することになるもので、それを避け続けることは治療ではありません。治療とは、そのアレルゲンを取っても大丈夫な人がたくさんいるのだから、そういう人の体に近づけることを本当の治療と言います。東洋医学では、熱や気血水などの問題を推測して漢方薬で治療をします。そこから導き出される食養生に最終的には結びつけて治癒に結びつけます。抗アレルギー薬などは最初に用いることはありますが、ほとんどの場合はそういった薬を用いることなく治癒することができます。西洋医学や科学の中には、症状でなく根本的な生命力・免疫力を引き出すという治療法・考察法が、まだ未発達な段階なのです。
つまり、COVID-19に「かからない」ようにするというのは、ワクチン開発までの間に国が進めるべきことではありますが、個人レベルでそんな目標設定をするのは、不可能に近いことだと考えた方が良いでしょう。それよりも大切なことは、「かかっても重症化しない人」たちがたくさんいるのだから、自分もその体に近づけようとすることが一番大切なことなのです。
簡単に言えば、風邪をひかないようにすれば良いのです。ところが、それはウイルスに「かからない」ということではありません。ウイルスに接触してもそれを「自分の免疫力で倒す」ということです。ですから、国の指示には従っても、自分がウイルスに「かからないこと」を最終目標とすることは、今回のCOVID-19に関しては、間違っているということをしっかり認識していただくことが、このウイルスの出現から人類が学ぶべき教訓の一つだと僕は思っています。
これからクラスターマップが、3・11のときのような放射能マップに近づいていくでしょう。放射能から「逃げろ逃げろ」と大騒ぎした人類(逃げることは大切です)は、あの災害から何を学び、社会はどう変わったのでしょうか。本当に大切なことは、放射能やウイルスから逃げまわることではなくて、そのことが起きてしまったことによって明らかになった世の中の歪みを、人類がどう修正していくのか。ということなのではないでしょうか。
国と個人ではやるべきことが違います。もちろん、国の指示には従いましょう。それは、仕方のないことです。いまある指示の中で、できることはそれほど多くありません。密な空間には行かない。咳エチケットを守る。高齢者への濃厚接触を減らす。そんなもんです。マスクは科学的にもウイルス感染の予防効果がないと現時点ではされています。自分のためでなく、他人のためにマスクをしている方が多いこともわかっています。でも、マスクは解決に向かわせてくれる道具ではありません。気や呼吸などのさまざまな点でマスクは害になりうると僕は考えています。咳などの症状がない方はなるべく着用しない、あるいは着用するにしても「口呼吸にならない」ように注意してください。またワクチンの開発は、西洋医学の発祥でもあり、期待したいところですが、それも個人レベルでどうこうできる問題ではないので、国に任せましょう。いま個人でできることの一つは、自分の体を自分で害さないこと。自分の食事や薬の内服、思考や生活の整え方を考えていきましょう。