これまで、COVID-19やマスクなどの話を重ねて、「かからない」と思うことはやめよう、マスクは害になる可能性もある、好き嫌いの野性を大切に。といったことを書いてきました。今回はもう少し具体的に、ストレスをどう溜めずに生活していくのか。という解決法のひとつを書いてみます。自分にフィットする方は実践してみてください。

 まず、自分の「ストレス」について考えるときに一番大切なことは、ストレスは常に「自分自身が生み出している」という考え方をすることです。人間の悩みやストレスはすべて、「過去を後悔することか未来を不安に思うこと」から生まれます。つまり、自分が生み出している思考がストレスの根本原因です。過去や未来のことを、何も考えることなく、現在目の前に起こっていることに集中すれば、いかなるストレスも理論的にはその瞬間になくなります。それを解脱と言うのかもしれませんが、もちろんそんなに簡単に成し遂げられることではありません。

 ストレスに限らず、いかなる症状においても、その原因に対して「自分自身を変えること」が一番大切な医療の基本原則です。例えば、ストレスの原因が自分以外のもの、つまり嫌いな人や、出来事、あるいは天候・社会環境などにあったとしても、その人や環境を変えることは多くの場合できません。その時に、変えることができるのは、いつも「自分自身でしかない」ことを忘れないでください。

 自分がストレスを感じた時には、「相手を変えよう」「環境を変えよう」とせず、変えられるのは「自分だけ」という考え方をする癖をつけると、健康を害しにくくなります。

 実際に、漢方診療をしていて、はやく良くなっていく患者さんは、自分自身を自分で変えていくことができる患者さんです。つゆくさ医院では、毎月問診票に自分の精神の状態を書いてもらっていますが、改善していく方の問診票の典型的な改善パターンはこんな感じです。

 初診時:仕事で嫌がらせをしてくる人のせいでストレスがたまってる。
     その人がいなくなれば私のストレスはなくなる。
     雨などの天候の悪い日、生理直前は特に苛立ちが強い。

 といった他責的な問診が多く、自分の症状が改善しないのは薬が合ってないからなんじゃないか。もっと良い薬があるんじゃないですか?という質問もよく来ます。

 再診時:今月は生理前もイライラしませんでした。
     イライラするときは早めに寝るようにして
     食事も乳製品や動物性のものを控えるようにしました。
     〇〇さんとの関係も、「まぁいっか。この人はそういう人だから」と流せる。
     桜がきれいですね。いろいろとやりたいことが出て来ました。

 というような方は、とても多いです。ここで重要なことは、ストレスを感じるのは、自分の体調が悪いからだと考え、クウネル(食事と睡眠)を自分でコントロールしていることです。また、自然界に目が向いていて、好奇心が湧いてくるのも改善している証拠です。