感冒の初期治療について

 

 冬になり、トンガの爆発による気温低下もあいまって、新型コロナの感染者が増えてきました。西洋医学には、ウイルス性の感冒に関する薬、つまり「かぜ薬」がありません。それに対し、漢方医学では、優秀な漢方薬がたくさんあります。

 

 オミクロンだけでなく、さまざまな感冒の初期治療の鉄則は、風邪をひかないように気をつけながら、

 「かかったら自分でなおす!」

 ということが重要です。特に、オミクロン株のような感染に対しては、

 「最初の3日間は、病院に行かない!」

 ということが、一番重要になってきます。その理由は、

 

 ① 診断をつけても治療がないから意味がない。(特に最初の三日!)

 ② 風邪で疲れてるのに、感染リスクの高い病院へ行くことは害である。

 ③ 医療崩壊と、医療費の無駄づかいを防ぐ。

 

 ということです。診断をつけないと他の人にうつすかもしれない。という方がいるかもしれないですが、そもそも「風邪をひいたらうつさないように家でじっとする」ということは、オミクロンに限らず、すべての感染症の鉄則です。病院に行くほど、医療スタッフの感染リスクがあがるので、最初の3日は自分で治療をしましょう。解熱したら咳などの症状があるうち、あるいは解熱後5日間は、人との接触を避けてください。

 

 3日経っても、改善がない場合は、他の病気の可能性もあるので、病院へ行きましょう。

 逆に最初の3日は、解熱剤(免疫抑制剤)ぐらいしか西洋医学にはありません。

 

風邪をひいたら

 

 風邪(感冒)を予防する方法は、玉屏風散と天体リズムに合わせた早い就寝と就寝時のテーピングです。

 

 それでも風邪をひいてしまったら。。。

 

 風邪はまず、寒気があるかないかで漢方薬の使用法が違います。

 

1葛根湯・27麻黄湯

 

 寒気が少しでもある場合には、「1葛根湯」を気軽に内服しましょう。首の後ろに効果を感じる薬なので、肩こりなどにも有効です。葛根湯のポイントは、風邪の初期だけ使うことです。長引いた感冒では、津液(しんえき)という体内の水分を失わせてしまうので、長期連用は控えてください(長くて2、3日)。

 葛根湯より強いのが、「27麻黄湯」です。麻黄湯は葛根湯よりも強いので、身震いするような寒さがある場合は、感冒初期に汗をかくまでつかいましょう(長くて1日3回まで)。

 葛根湯も麻黄湯も、汗をかかせる薬です。汗をかくと、寒気がおさまるので、その後は出番がありません。葛根湯は2000年前の薬です。

 

 また、入浴は体力を消耗するので、高齢者や一般的な感冒の際(特に中期以降)は推奨できませんが、まだ体力のある感冒初期で、寒気がある場合(お風呂に入りたい!と思う場合)は、熱めのお湯に、体の中心まで温めて、短めの時間で出るようにしましょう。

 感冒時の発熱は、ウイルスを倒すために人間の免疫細胞が必死に出しているものです。

 入浴前に葛根湯を2袋飲んで、体温を40度近くまであげて、汗をダァーッとかくと、寒気がなくなり、感冒が治癒の方向へ向かいます。汗をかききらずに、寒気が持続している場合は、入浴後すぐに1〜2時間程度布団にくるまって、汗を徹底的にかきましょう。

 

銀翹散(ぎんぎょうさん)

 

 寒気があるにせよ、ないにせよ、とりあえず感冒やアレルギーには銀翹散です。

 特に、のどの痛みや、鼻炎などのアレルギーや感冒に奏功します。風邪の初期〜中期にかけて使用する薬です。寒気があれば、葛根湯とともに用いると効果的です。

 感冒初期は、玉屏風散と銀翹散を併用して、寒気があればそこに葛根湯を加えます。

 

 この薬は200年前ぐらいにできた比較的新しい名処方なのですが、日本の鎖国中のため、日本では保険適応がありませんが、飽食の時代の薬です。中国でもっとも売れているかぜ薬です。一般販売されている銀翹散は、エキス製剤ですが、本来は生薬を粉にしたものが「ホンモノ」です。当院では、銀翹散のホンモノを作成しました。

 

双黄連

 

 もともとは帯状疱疹ヘルペスウイルスに対する漢方薬ですが、中国科学院がコロナに効く!ということを発表し、2日間で中国全土からなくなったという噂の漢方薬です。COVID-19(とくに夏のデルタ株)の重症化には、湿熱という動物性タンパクの過剰摂取や、ストレス・遅い睡眠などが関与しています。

 過剰な免疫応答によるもので、サイトカインストームという状態が起こります。双黄連はそれを防ぐ煎じ薬です。発熱がひかない場合には、双黄連を30分程度ぐつぐつ煮込んで内服すれば、熱がスーッとひいてくれます。子供にも有効です。

 

④ 9小柴胡湯(しょうさいことう)・桂枝湯(けいしとう)

 

 感冒の初期治療に成功して、解熱したら、小柴胡湯や、食欲がないときは桂枝湯、完全に解熱したら、41補中益気湯、48十全大補湯などの補気剤を内服して体力を回復しましょう。

 玉屏風散も感冒回復の補気剤としても用いれるので、感冒予防・初期・回復期とずっと内服のできる漢方薬です。

 

⑤ 55麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)・95五虎湯(ごことう)

 

 感染後に咳の残る方がいらっしゃいます。軽い咳であれば玉屏風散と就寝時の口テーピングで改善していきますが、咳の強い場合には55麻杏甘石湯が有用です。また痰も出る場合は95五虎湯が有効です。その他、不眠などがあれば91竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)も効果的です。

 

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 オミクロン株の流行で、初期治療の不安を抱える方も多いので、当院では「感冒セット」を現在準備中です。1月28日より診察処方を開始します。お急ぎの方は、現在も、院内およびつゆくさONLINEにて、それぞれの漢方薬は販売しておりますので、ご利用ください。

 兼ねてからご要望の多かった診察日の増設もいたしました。こちらの診察は電話による診察のみで10分単位です。つゆくさONLINEで診察券をご購入していただく必要がありますので、ご了承ください。

 

<感冒セット> 

 玉屏風散:5日分(15袋)

 ツムラ葛根湯:2日分(6袋)

 ツムラ麻黄湯:1回分

 銀翹散:2日分(6袋)

 双黄連:2日分(2袋)

 3000円(税別)で処方を予定しております。

 現在準備中ですので、急ぎでご入用の方はcontact@tsuyukusaonline.comまでご連絡ください。

 医薬品のため、処方するには、初回のみ電話診察(1500円)が必要になります。
 使用期限は、冷蔵庫内であれば半年〜1、2年もちます。漢方薬は冷蔵庫のない時代の医学です。

 一家にひとつ用意しておくと良いと思います。