<コロナ禍の終息はどのように訪れるのか>
僕が救急医をやめて漢方を中心とした医師になる選択をした理由は、西洋医学のほとんどが、一時的に症状を抑えるだけの「対症療法」であることでした。特に、救急外来を受診する「風邪」の患者さんに対して、西洋医学ができることが、解熱鎮痛薬ぐらいしかないことに、強い無力感を感じたからです。
感染症には、細菌感染とウイルス感染があり、一般的な風邪の8割程度は、ウイルス感染と言われています。いわゆる抗生物質というものは、細菌感染にしか有効ではありません。解熱鎮痛薬は、症状を抑えることはできても、それは感染に対する人間の生体反応を抑えているだけで、多くの場合、治癒を遅らせるばかりか、重症化を招いてしまうこともあります。医者になっても、風邪も診れないことに、無力感を覚えました。
免疫学の世界では、獲得免疫と自然免疫というものがあります。獲得免疫とは、ワクチンや抗体のような、ある特定の物質に対する「免疫記憶」が形成される抗原特異的な免疫です。一度接触したことのあるものに対する免疫で、記憶の成立とその作動には、数日間以上のある程度の時間が必要になります。一方の自然免疫は、免疫記憶に依存することなく、とりあえず、やばそうなものをすぐに攻撃しておいて、獲得免疫につなぐ。という原始的であるがゆえに反応が早い抗原非特異的な免疫です。つまり、風邪をひかない人というのは、自然免疫がしっかり機能しているのです。
この自然免疫という機構は、2011年にラルフ・スタインマンがノーベル賞を受賞した「樹状細胞」という、自然免疫と獲得免疫をつなぐ細胞の発見によって注目されるようになったものです。科学の中では、比較的新しい概念のため、この自然免疫を調整するような樹状細胞ワクチンなどはまだ未承認の段階(https://serenclinic.jp/dc/vaccell/vacell01.php)で、一般的な西洋医学的治療は、まだほとんどありません。
一方の漢方治療は、主にこの抗原非特異的な自然免疫を動かしています。そのため、ウイルス感染である風邪に対して、様々な治療薬があるのです。コロナウイルスであるSARSが発生した際には、玉屏風散をはじめとした漢方薬が治療の中心として使われ、終息に貢献しました。
<コロナ禍とは>
新型コロナウイルス、SARS-CoV-2は、世界的なパンデミックの歴史からすると、その死亡者数はそれほど多くはありません。100年前のスペイン風邪、現在のインフルエンザの流行では、世界で4000万人〜1億人の若い方が2年間で亡くなりました。COVID-19では、2年間で400万人程度です。決して、少ない数ではありませんが、これまでの人類史の中では、それほど強いウイルスではありません。それは当初の情報からもうかがい知れるところでした。日本では、年間140万人の死者のうち、1万人程度がCOVID-19で亡くなっています。ガンの死亡者は40万人です。養老孟司先生の言葉を借りれば「一つの死因が増えただけ」なのです。しかし、人類全体へのダメージは、スペイン風邪よりも大きなものでしょう。それは、コロナ禍という現象が、ウイルスそのものの強さよりも、SARS-CoV-2という「情報」に対する、人類全体のアレルギー反応(過剰応答)が、100年前よりも強く起こっているからです。
コロナ禍の終焉というのは、おそらくこの情報に対する人類のアレルギー反応がおさまる時だと僕は考えてきました。毎年冬になると流行するインフルエンザのような風邪の位置付けになる。その過程としては、一年後ぐらいに効くんだか効かないんだかわからないワクチンやら、空気清浄機やら治療薬やらというものがポコポコできてきて、それに翻弄されながらも、振り返ってみたら結局普通の風邪だね。となって、「科学ってまだまだそんなもんなんだね。」と、科学至上主義が崩壊することが、この人類のアレルギー反応が沈静化して、コロナ禍が終息する。これはコロナ禍当初から今も変わらない僕の月並みな予想でした。https://tsuyukusa.tokyo/?p=1609
コロナ禍はマスクやワクチンで終息することは、おそらくありません。人類の情報に対するアレルギー反応であるコロナ禍の終息は、科学やマスメディアに対する信頼の徹底的な崩壊によってしか起こらないのではないか。と僕は考えています。
<コロナワクチンの脅威>
僕の予想を大きく覆しているのは、コロナワクチンによる致死率と普及、変異種の出現の速さです。そもそも、m-RNAという遺伝子レベルを操作するワクチンが、科学的治験もなく臨床に採用されるということは予想外でした。遺伝子組み換え作物(GMO:Genetically Modified Organism)に見るように、自然の摂理を無視した科学技術は、歴史上、多くの歪みを生み出してきました。効果のある薬というものには、必ず副作用があるものですが、遺伝子領域に作用するこの種のワクチンには、想像を超える副作用が出現する可能性が高いと予感するのは僕だけではないと思います。
2018年には5200万人がインフルエンザワクチンの予防接種を受けて、副反応による死亡例は3件だったのに対し、コロナワクチンはこれまで2400万人が接種して355人の死亡例があり、“死亡率”はインフルエンザワクチンのおよそ250倍です。しかも、心不全や脳出血など血管系の死因に限局しているので、その因果関係は、全てではないにしろほぼ確実でしょう。
厚生労働省は、ワクチンの副作用による健康被害には給付金が支給される(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0003.html)と記載されており、死亡一時金は4240万円です。現時点でワクチンとの因果関係が承認された人は、おそらく一人もいません。これは、放射能被害による死亡がなかなか認定されないのと同じです。医者だから言いますが、複合的な要素で生じている死因をはっきりと認定することは、ほとんどの場合できません。
ワクチンによる変異種の出現は予想されていましたが、イギリスやイスラエルのようなワクチン先進国の変異種への置きかわりの速さも、脅威的です。ウイルスは生命ではなく、意志をもたない物質です。水が高いところから低いところへ流れるように、ウイルスは変異していきます。自然法則を無視した科学技術は、自然の秩序を乱し、ことを重大にしていきます。これは新型コロナに限ったことではありません。アレルギーや月経困難症に対する対症療法を続けていると、症状が増悪して薬が増え続け、さらに重大な病につながる構図と同じなのです。
<コロナワクチンの行末>
ワクチンに関して、本当に怖いことは短期的な副作用ではありません。ワクチンというものは、一度接種して記憶を獲得してしまうと、その影響が死ぬまで体に残ってしまう、戻ることのできないものです。つまり、本当に怖いことは、長期的な副作用についてであって、その可能性については、世界中のどんな科学者にも予見できないものなのです。
ただし、人間のからだは、そんなに弱いものではありません。ですから、長期的な副作用についても、かなりの確率で大したことが起こらない可能性のほうが高いでしょう。ただし、冒頭に書いたように、新型コロナによる死亡率は、それ以上に低く、ワクチンによる死亡率は、想像以上に高いです。また、妊娠した子供への影響は誰にも予測することはできません。産婦人科学会をはじめとしたどんな権威のある優秀な方々が、「今のところ、おそらく大丈夫」と言っても、何かがあったときにそれを補償してくれる人はいません。
特に僕が一番懸念していることは、若年層へのワクチン接種です。30歳以下の日本人の死亡者数はこの2年弱で7人です(2021年6月21日現在、30歳代27人、40歳代103人、50歳代301人,60歳代859人)。60歳以下の交通事故死者数は、年間800人、2年で1600人程度なので、交通事故死よりも死亡率が10倍以上低いのにも関わらず、こんなに未知で死亡率の高いワクチンを接種することは、狂気の沙汰としか思えないのです。
http://www.ipss.go.jp/projects/j/Choju/covid19/index.aspのエクセルデータより引用
「若い人にも早く接種してほしい。」一時的でもいいから「今すぐ、自由になりたい」と願う気持ちはわかりますが、そのための対症療法として現段階でワクチンを接種することは、あまりにも危険です。ワクチンには、重症化を予防する効果はあっても、感染拡大を長期的に防ぐ力はおそらくありません(気道や食道の粘膜免疫を担当するIgAという抗体ではなく、血中の免疫を担当するIgGしか誘導できない)。風邪に対して重要な免疫は自然免疫です。
短期的には多少の効果があったとしても、少なくとも60歳以下の方は、もう少し状況を見てからの接種を僕はオススメします。また60歳以下の接種を控える動きがないと、科学至上主義信仰による侵略は、30歳以下の若い世代にまで進行してしまっています。実証のない科学技術を用いることは科学的ではなく宗教的なことです。
効果の絶大なワクチンや治療薬の登場を心から願っていますが、これまでの医学史を振り返っても、そんなことが起こる可能性が低いと言わざるを得ません。
少なくとも70歳以下の死亡率が低い世代は、イギリスやイスラエルのようなワクチン先進国の動向をもう少し見てからでも良いのではないでしょうか。本当にワクチンによって感染拡大が実現されるのか。そこまで死亡を防ぎたいのであれば、車に乗ったり、車道を歩くのをやめたほうが10倍死亡率が下がります。若い世代にワクチンを勧めるのであれば、運転免許を取らせるのをやめさせるほうが賢明です。
<コロナ禍終息への道とその後の課題>
まずは、マスメディアを安易に信用するのをやめましょう。安易にワクチンを推奨する人にも注意しましょう。そして動物性蛋白、特に家畜の摂食をへらしましょう。糖質制限で短命になる原因は、動物性蛋白の摂取量が増えることによるものだと多くのコホート研究によって実証されました。コロナ禍よりもずっとずっと大きな人類共通の問題は環境問題です。現在の環境問題を引き起こしている最たる原因は、GMOであるトウモロコシを餌にすることよって大量生産されている家畜産業です。1kgの肉をつくるために15kgの穀物が必要なのに、野菜より安い肉が売られていることの理由を考えてみてください。僕も肉は好きですが、現代人は肉をとりすぎています。低いところに水が流れるように、そうした現代社会の問題が集約され顕在化されたのがコロナ禍なのだと僕は感じています。病とはそういうものです。
COVID-19に対する東洋医学的な診断は湿熱、つまり動物性脂肪の過剰摂取や遅い睡眠などに起因するものです。コロナ禍で死亡率の高い国(アメリカ・ブラジルなど)は、全てではありませんが、動物性蛋白の摂取量が多い国です(個人的には自然塩と発酵食も関係していると考えています)。未知のワクチンを打つぐらいであれば、動物性脂肪の接種を控え、早く寝ましょう。自然免疫を活性化する漢方薬、特にSARS治療の主役であった玉屏風散の使用は、新型コロナだけでなく、あらゆる感冒を予防し、花粉症や喘息などの各種アレルギーを改善します。さらにそうした自然生薬の恵みは、自然に対する畏敬の念を蘇らせてくれます。
これから、空中に消毒薬(次亜塩素酸水など)を噴霧し続け吸引することで、健康維持のための常在菌までを殺してしまう空気清浄機や、タミフルと類似するような抗新型コロナ薬が続々と出現してくるでしょう。マスクやワクチンも含めたそれらの科学的な技術は、原因から逃げ回るだけの対症療法という「その場しのぎ」でしかないことを、是非とも忘れないでください。
ワクチンは効果が6ヶ月程度と言われています。そのため7月に打つと感染ピークの1月には切れてしまうので、イギリスのように3回目の接種になるかもしれません。そのため、どうしても打ちたい人は10月以降、できれば、来年の10月まではワクチン先進国での結果がどうなるのか。せめてどの会社のワクチンが有効なのか、副作用が少ないのか。というのを見てから接種することをおすすめします。そのことが、若い世代にもたらしてしまうかもしれないワクチン被害をくいとめることにつながると考えています。