新型コロナのワクチン接種について、よくご質問を受けるようになりましたので、当院の考え方を書いておきます。

 まず、ワクチンの有効性はおそらく高く、副作用もそれほど出ないであろうと思っています。当初はインフルエンザワクチンのように。効くんだか効かないんだかわからないワクチンができるんだろうと思っていたので、今回の科学の叡智は素晴らしいもので、このワクチンによって救われる命があるであろうことから、その誕生をとても喜んでいます。ただその一方で、ここまでの強力なワクチンの誕生が怖いところもあると思っています。日本の今の死亡率の状況で、急いでワクチンを接種することのメリットとデメリットを、もう少し慎重に考えたほうが良いのではないか。というのが正直な感想です。

 そのポイントは、

 ① ワクチンを接種することによって、集団免疫が達成されるかどうかはまだ不明であるということ。

 ② 日本人の現状の致死率を考えると、死亡率の低い年齢層にまで治験の少ないワクチンを急いで接種する意義に疑問が残る。死亡率が100倍近く高い諸外国の接種状況を一律に真似るべきではないのではないか。

 ③ ワクチン接種は一度接種すると不可逆的な体質変化になるため、後悔しないようにメリット・デメリットを慎重に考えるべきなのではないか。

 ④ 医師は接種を止めてうらまれることはあっても、世界中がやっている接種を勧めて副作用が出ても、責められる可能性は少ないから勧めるのが無難。これは他の薬剤投与も同じで、それが増え続ける薬剤投与につながっている現状がある。

 ⑤ 自分のためではなく、他人に移さないために接種するという論理もおかしい。移りたくない人は接種すれば良いし、その不安の中で生きるのが嫌なのであれば接種するべきで、この論理の裏側には接種しない人を悪人扱いするイデオロギーが存在している。健康の問題を他人に強要するべきではない。

 ⑥マスク着用と同じく、自然を制御・制圧する医療よりも、考えるべき課題や、やるべきことが他にもたくさんある。

 ということから、65歳以下で重篤な基礎疾患のない日本人の方は、ワクチンの接種を可能な限り遅らせるべきだと僕は考えています。

 

 集団免疫獲得のために接種するという文言が飛び交っていますが、それは現時点ではかなり疑わしく、逆にマスク同様、ワクチンしてない人はワルモノ!みたいなイデオロギーを生み出すことが予想されます。これは原発反対=過激派!というイデオロギーをつくりあげ、原発反対運動を抑制したのと同じ構図のように僕は感じます。

 ワクチンの有効性も安全性も高く(おそらくそうです)、集団免疫の獲得に寄与するかもしれませんが、COVID-19によって死ぬ確率がほとんどない日本人が、たとえわずかであったとしても、取り返しのつかない副作用が発生するリスクをとる意味がどこまであるのか、その接種を急ぐ必要がどれぐらいあるのか。ということに対しては、とても懐疑的です。

 ワクチンに反対なわけではありません。むしろ賞賛の気持ちの方が大きいです。西洋医学は400年前の種痘ワクチンにはじまる医学です。ワクチンは科学の得意分野で、とても良いものだと思いますが、すべての人が急いで接種する必要はないと思います。

 健康の問題に対する価値観に、万人に共通する正解はありません。

 僕が今回のワクチン接種に関して切に願うことは、ワクチン接種をしない人や待機している人を誹謗中傷する人が出てこないことです。健康に関する個人の価値観に対して侵害することは、とても危険なことです。アナフィラキシーだけが副作用のように語られていますが、抗体依存性感染増強をはじめとした、様々な長期的なリスクがある可能性は、これまでにない有効率のワクチンであり、治験もすくないからこそ、通常のワクチン以上に高いことは誰も否定できません。だからこそ、その接種に関しては、後悔することのないように慎重になるべきなのではないでしょうか。

 ワクチンの登場は素晴らしいことですが、その作用機序の違うものがいくつかあります。死亡リスクが高くない人は、どのワクチンが良いのか、ワクチン接種による集団免疫が成立するのか、ワクチン耐性ウイルスの出現がないのかなどを判定できる段階に入ってからの接種が良いのではないかと思っています。

 一番大切なことは、新型コロナに接触しても発症しない健康な心身を獲得することであることを、忘れないでください。病は新型コロナだけではありません。