「怒り」と「喧嘩」

 

 「怒り」というエネルギーが始まる理由と、その方向がどこへ向かっているのか。ということを自分自身で積極的に観察する癖をつけていくと、「怒り」や「ストレス」という感情をコントロールしていくことができます。

 

  まず、「怒り」には、その背後に「自分は正しい、正しくありたい」という思いがあります。「怒り」の原因となる「正しさ」という思いは、自分自身が作り出しているものであることを自覚することがとても大切です。ストレスは自分の外部に原因があると思っている限り、なくなることはありません。どんな状況でも、何かをストレスだと感じさせているのは、自分自身なのです。

 

 厄介なことに、人間は誰しも「自分は正しい」と思いたいのです。その矛先が他人に向かえば、イライラと攻撃的になって悪口を言うことになるし、自分に向かえば「自分はもっと正しいはずなのに」と、自分自身を責めて抑うつ的になります。「怒り」たくなければ、この「自分が正しい!」という「思い」を消せば良いのですが、それがなかなかに難しいわけです。

 

 恥ずかしながら、僕自身もたまに夫婦喧嘩をします。診察中の患者さんからも、旦那さんの悪口を聞くこともあります。そういえば、旦那さんが奥様の悪口を言うことは、意外とあんまりないですね。笑

 

 そういう時に、「あ〜俺もそれあるある。笑」と思うのですが、時にその怒りが制御できずに「自分はこんなに正しい!」という思いが激昂してしまうと、「あいつはこんなに悪いから離婚だ!」とかってなってしまうのです。世の中なんか嫌なこととか嫌な人なんて、探し出せば無限にあります。

 

 そんなご相談の時にいつも思うことは、自分や家族の幸福を願うなら、まず「家族」という最小単位の中で、幸福を実現することが、自分にとっても家族にとっても良いので、一番大切なことだろうなぁと思うのです。自分や家族の限りあるエネルギーを、誰が「正しい」とか「悪い」とかをめぐって、「怒り」に費やすことは、その「家族」全体のパフォーマンスにとって、だいぶエネルギー効率を悪くする。します。無駄なだけでなく害になるのです。

 友達や同僚の悪口言うのも同じ感じですよね。そういう人とは、あんまり会いたくないし会わないので、僕の周りには悪口言ってる人あんまりいないかな。つゆくさ医院のスタッフに最初にお願いするたったひとつのルールは「悪口言うくらいなら仕事を変える」ということです。人類自体、宇宙からしたらちーさなコミュニティですもんね。そんなちっちゃなコミュニティーで悪口言い合ってる暇あるなら他のことをしたい。僕はそう思って仕事をしています。

 

 いま世界中で、ワクチン接種の論議が沸き起こり、大きな分断までが起きています。もはや、SARS-Co-V2というウイルス自体の影も薄まってきている感じがするのは、僕だけでしょうか。

 

 その状況が、「夫婦喧嘩」のように思えるのです。

 

 先日のアメリカ大統領選は、アメリカという家庭の内部での夫婦喧嘩を見ているような気分でした。喧嘩なんかしてないで協力しあってより良い国つくればいいのになぁ。と思ったり。。。

 

 コロナ禍も言うなれば、人類という「家族」の住まいである「地球」という寝床について、誰が「正しい」じゃなくて、協力しあって解決した方が良のになぁと、つくづく本末転倒な状況に落胆することが少なくありません。

 

 かといって、僕自身がいつも「怒り」を覚えずに過ごしているのか。と言えば、もちろんそうではなくて、日に何度も小さな「怒り」を自覚します。「怒り」を感じるたびに、自分が「正しさ」を求めてしまっていたことを自覚しなおして、反省する日々です。

 

 何が「正しい」のか、ただでさえわかりにくくなっている世の中です。自分にとっての正解を他人に押し付けることはせずに、その正解について深く考え、話し合いましょう。それが「妨害なき相互浸透」という当院のテーマです。

 これまでの医療やこれからの医療について、力を合わせながら、健康を築いていくお手伝いを、当院ではこれからも続けていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。