一日二食のすすめ

 当院では「一日二食」をすすめています。少し長くなってしまったので、まずは、要点から列挙して、詳説はその後にしました。要点はこちら。

<理由>

・現代人の食生活で最も乱れているのは夕食  内容よりもリズムのほうが重要

・人間はもともと暗くなってからは食事をしない。

・食養生は電気のない時代の食事から心身を考える。

・冷蔵庫とコンロがなかったら朝起きてすぐには食べれない。

・とくに炭水化物は消化に時間がかかる。

・果物は金銀鉛 塩と糖の陰陽バランス

・遅い食事は、腎(生命力の源)を弱め老化を進める

<症状> 遅い食事はこんな悪いことが

 腸→朝だるい・気持ち悪い、気滞:逆流性食道炎、胸焼け、腹満、便秘・下痢

 腎→夜尿・足冷えほてり・下半身のだるさ、腰痛・膝痛・老化

 肝→イライラ、肝陽上更によるほてり・じんま疹など、脂質異常症(遅い夕食、特に糖質の摂取によってコレステロールが高くなる)、痛風(尿酸がたまる病)

<方法>

・昼飯を遅く多く

・「べき・ねば」ではなく「いい・たい」で良い睡眠

・お腹が空いたら塩スープ

<改善>

・二食にすると食事にかかる時間が減る。夜が慌ただしくなくゆっくり優雅に過ごせる。

・二食にすると睡眠もよくなる。とくに夜間尿が減る。

・脂質異常症(コレステロール値)が改善

・朝ごはんがおいしく、朝すっきりと起きれて、すっきりと便が出る。

・やせすぎは太るし、肥満はやせる。

 

・現代人の食養生で一番乱れているもの

 

 食養生というと、白砂糖や動物性食品、糖質やグルテンのとりすぎなどという、食事の質的な問題がよくあげられています。ところが、意外と多くの人が気づけていない現代人の食生活最大の問題に、「食のリズム」があります。

 

 人間のからだのしくみを考えるには、人間のからだの「歴史」を考えるということは、一つの有用な方法です。人間の生体システムにとって、電気のある時代の長さは、ごくごく限られた時間。500万年前からの人類史で、街中に電気が現れ始めたのは、たかだか150年前です。

 

 植物の光周期にみるように、地球上の生命のリズムは、太陽や月といった光のリズムによって決定されています。人間も例外ではなく、成長ホルモンは何時に寝ても22時から2時の間に一番多く分泌され、健康的な女性の月経周期は、月の周期と同じ28日になってきます。1日の中にも陰陽のリズムがあり、太陽が登った日中は、社会生活を送り、虫や鳥が動き出す「陽」な時間。陽が沈む頃には虫の音も変わり、月の光が大地を照らします。家庭や夢の世界へと「陰」の時間を過ごすのです。このリズムに合わせて、人間のからだとこころ、特に胃腸や腎といった臓器が機能するように、わたしたちの体内では、さまざまなホルモンが周期的に分泌されています。

 

 多くの病は、こうした太陽と月の周期をはじめとした、自然界のリズムからずれることによって生じます。季節の移り変わりに合わせて生活をせず、寒い冬に裸でいてカゼをひいたり、だるくなったりするのと同じことなのです。

 

・人間本来のリズムは「1日2食」

 

 本来、人間は暗くなってから食事をする生活はできませんでした。夏であれば18時、冬であれば17時には暗くなってしまうので、その時間に食事をすることはあまりできませんでした。日の出とともに目を覚ましても、食事は火を起こすことから始まり、一仕事してからの食事。つまり、朝食は起きてすぐに摂ることはできませんでした。もちろん、現代生活でそんな時間管理ができる人は少ないでしょう。けれど、人類はそうした太陽が生み出すリズムの中で生きてきたことを念頭に、「食のリズム」を考えると、からだもこころも、とても快調になります。

 

 かつての僕自身もそうでしたが、「一日二食」というと、多くの患者さんが、「無理ですよ〜」と、最初は当たり前かのように言います。寝る前に塩湯を3g飲む。という生活指導を実践してもらうには、月1回10分の診察でも平均約半年かかります(「花粉のしおり」ができてからは、わりと一回の診察で実践できる人が増えてきましたが)。ところが「一日二食」を実践してもらうまでには、2年ぐらい説得が必要な方も多いです。食のリズムは本当に大切なことなので、その生活改善が必要不可欠な患者さんには、毎回毎回説明し続けることが多いので、そこまで言われ続けるんだから、一度やってみるか。となるまでに、2年ぐらいかかるのです。ところが、一度始めてみると、元に戻る人はあまりいません。それは1日2食が、とても心地よいとわりとすぐに実感できるからです。

 

現代生活における二食生活

 

 江戸時代の生活は、午前5〜6時ころの夜明けとともに目を覚まし、火を起こして調理して、朝8時か9時から食事をして、仕事をして15時ころには食事の準備をして16時から宴会、20時には就寝というのが、ごく一般的な生活だったそうです。

 とはいえ、今は電気のある生活がスタンダードになっている現代。なかなかすべての人が、本来の理想的な食事のリズムを実現することは難しいと思います。僕自身も江戸時代の生活とは程遠い生活をしています。けれど、そうはいっても僕らのからだは、光の影響から逃れることはできません。そこで、「人間は本来一日二食」という原則を頭の片隅に置いて、夕食の時間とその内容を考えるようにすると、体調はあっという間に改善します。その原則を知っておきましょう。

 

① 朝は胃腸系を動かす糖、夕は腎を動かす塩

 「万物は陰陽から成り立っている」というのが、東洋医学の根本思想です。どちらが良い悪いというのではなく、物質や人や行為が、どこにどうあることで調和・バランスがとれるのか。ということを考えるのが陰陽理論です。

 

 夜行性でない動物の腸は、暗くなってからはその日1日の食事をクリーンナップして、次の日のための「気」(動くためのエネルギー)を蓄えるための作業に入ります。冬なら暗くなる18時ころには腸内清掃の準備が始まります。朝になるまで12時間程度、腸の中を空っぽにすることで、朝、整った便通が気持ちよく排出され、その間に蓄えられた気によって、一日を快適に過ごすことができるのです。

 

 ところが、20時ぐらいに予想外の食事が入ると、18時頃から、せっかく始めた作業が振り出しに戻され、腸のリズムが崩れてしまいます。たかだか2時間じゃん!と思うかもしれませんが、食べたものは、胃の中で2時間程度、胃酸にさらされ分解されます。ところが、炭水化物は、胃酸であまり消化されません。つまり、特に炭水化物に関しては、胃から排出される2時間後の22時過ぎから、清掃中だった腸に、まだ消化されていない炭水化物を流し込むことになるのです。すると、夜の優雅な時間を過ごしていた腸のリズムはがたがたになるのです。本来の生体リズムが、遅く入ってきた食事に乱されてしまうため、便秘になったり下痢になったり、気が逆流するとゲップ・ガス・逆流性食道炎といった「気滞(きたい)」の状態になります。現代生活に増え続けている逆流性食道炎の最たる理由は、現代人の遅い食生活にあります。また、コレステロール異常症、高脂血症や高尿酸血症といった病態も、循環の問題なので、食リズムの乱れが影響しています。さらに、遅い食事は、こころの流れも悪くします。からだで作り出される「気」が少なくなり、不適切な水の滞りが出てくると、朝からのどがつまって息苦しく不安になったり、考えなくても良いことを考え続けてイライラしたりと、気の流れが悪くなって、ストレスが溜まっていってしまうのです。リンク:高脂血症薬という不自然

 

 人間のからだは、日中に「陽」という熱を生み出し、夜に「陰」で熱を冷ますというリズムの中で動いています。「陽」は「気」によって生み出されます。「気」は「脾(胃腸)」と「肺」、つまり「食事」と「呼吸」によって、「陰」は主に腎によって生み出されます。やる気元気の「気」は朝から、生命力の源でもある「陰」は、夜に養うものなのです。

 

 五味という東洋医学の考え方からみても、「脾」は「甘(甘いもの)」に、「腎」は「鹹(塩からいもの)」に栄養されると考えます。日中は「糖」質を中心に「脾」を養い、夜は「塩」で「腎」を養います。15時ぐらいからの夕食を勧めていますが、遅く取るならば海のものや、漬物などの発酵食品を摂ると、「脾」を傷めず、「腎」が栄養されてリズム不調が改善されるのです。

 

② 夜間の糖質と腎、夜間尿の関係「果物は金銀鉛」

 

 「果物は金銀鉛」というヨーロッパの諺があります。果物は、朝食べると金、昼でも銀だけど、夕方以降食べると鉛になる。という意味です。これも東洋医学でいう陰陽リズムの存在を、西洋人が経験的に表した言葉です。特に果物に含まれている果糖は、夜に食べるとエネルギーとして消費されずに、脂肪に変換されて蓄積されてしまいます。果物に限らず、夜の糖質は脂肪へと蓄積されやすいため、コレステロールが上昇する高脂血症も、夕食の糖質制限によって改善されていきます。夕食の糖質制限をすると、体重が減りやすいのは、このようなからだのリズムが関係しているのです。科学的には、糖質が12時間以上摂取されないと、体内の脂肪がエネルギー源として分解されるとされています(ケトジェニック・ダイエット)。また、からだの陰陽リズムが遅い時間(塩の時間)の糖質の流入によって、夜に行う生体機能(腎の栄養)が低下すると、夜間尿で起きることが増え、一方では体内に水が貯留する状態になります。すると、朝の寝起きが悪くなり、浮腫んでだるく、車酔いや不安も強くなるのです。

 

 夜間尿の出現は「腎」の機能が低下している症状です。「腎」で生成される「陰」は、からだに物質や情報を留める力を指します。幼少期から徐々に増えだし、記憶力が長くなり、おねしょがなくなり、生命力が高くなりますが、四十歳を過ぎた頃から、腎が衰え、精力も落ちて、記憶力が低下しはじめ、夜間尿が増えていきます。

 

 この夜間尿は、夜の糖質制限をするとなくなります。夜は腎が陰をつくりだす時間なので、その時間に「糖」を取らずに「塩」をとると、腎が鍛えられ、一層のこと夜間尿がなくなります。一方で夜に果物をとると、夜のトイレが見事に増えます。早い人は30代後半ぐらいから、夜のトイレが始まります。

 

 漢方薬では107牛車腎気丸という薬を使いますが、この薬には、本来入っていた塩が、風評被害で除かれてしまったため、効果は今ひとつになってしまったのです。この漢方薬を使わなくても、七十歳以下の若い人であれば、遅い夕食と自然塩の眠前摂取によって、ほとんどの方の夜間尿をなくすことができます。

 

・生命の鍵「腎」

 

 人間の生命力。それは臓器で言うと「腎」に司られています。西洋医学でも、腎臓という臓器は、血液から不要な成分を排出する臓器で、腎臓が悪くなって尿が出せなくなると、人間は3日と生きることはできません。最終手段で用いられる科学装置が人工透析です。

 

 「生命」というものは、物質の集まりではあるのですが、ただ物質が集まっているだけの状態は、石や砂と同じ状態であり「生命」ではありません。「生命」というものは、物質以外のものをそこに留める力、言い換えれば「宿す力」です。たとえば心臓は、科学的に物質として「まったく同じもの」をそこに配置させたとしても、洞房結節という「拍動」を惹きおこす科学的に未解明な臓器がなければ、拍動を始めることはできません。

 

 そうした「宿す力」を、絶えず調節している生命力の源が、東洋医学における「腎」です。腎は体内の陰陽バランスを整える臓器です。とくに水の排泄(尿)と血液の産生・循環の調節をすることで、からだ全体の水と熱を調節しているのです。「陰」とは目に見えるものが多く、血液やリンパ液、骨などを指します。一方の「陽」は、エネルギーや気力というように目に見えず、上昇していくものを指します。生命力である「陰」は、生まれてから、青年期に至るまで増え続け、更年期を境に減り続け、陰がつきたとき、人間は死に至ります。腎機能が落ちると、まずは陰がなくなり火が上半身だけに燃え上がる「陰虚火旺」という状態になり、さらに低下すると「陽虚」になってきて、足の冷えや夜間尿が強くなって「冷えのぼせ」という状態になり、めまいや不眠、血圧の上昇といった症状が出現してきます。

 

<コラム:居酒屋メニューは人類の叡智>

 居酒屋に行くと、毎晩のように来ている元気なおじさんがいるのを見たことがあるかもしれません。三十年以上も毎晩日本酒を5合は呑んで、翌朝からしっかりと仕事をしている人も少なくありません。そんな人の酒の呑み方に共通していることは、酒を呑みながらあまり食べない。ということです。

 酒好きの人は、グルメな人も多く、その時自分が食べたいものを、自分の感覚に対して能動的になりながら選びます。今でこそ夜に丼ぶりが食べれる居酒屋もありますが、本来、居酒屋のメニューには、炭水化物や甘いものといった糖質が含まれるものは少なく、塩や発酵食品、あるいは焼き鳥などのタンパク質が中心です。この文化は、歴代の飲兵衛たちが、その味覚と身体を通じて感じ取って来た、長く酒を健康的に呑み続けるための叡智なのです。

 

・遅い食事の弊害

 これまでに示したように、遅い食事にはいろいろな病の発端となる症状がいろいろあります。下記の症状がある方は、是非1日2食を試してみてください。食習慣の変換は、だいたい2週間で定着してきますので、まずは2週間トライしてみてください。

① 腸の不調(気滞)

 ・下痢と便秘を繰り返す。軟便が多い。

 ・朝便通が出ない。

 ・朝の気力が低い。朝ご飯が食べれない。

 ・逆流性食道炎・胸やけ・げっぷ・ガス・腹満(お腹がゴロゴロしたり張る状態)

 ・高脂血症

② 腎の不調(腎虚)

 ・足が冷える(手の冷えは血虚、足の冷えは腎虚)

 ・足腰が痛い、だるい

 ・白髪が増えた

 ・夕方以降のほてりやめまい・不眠

 ・夕方以降の温められたときの皮膚のかゆみ、じんま疹、手湿疹

 ・朝に水滞(軟便・鼻水・むくみ・頭痛・不安など)の症状がある。

 

これらの症状は夜間の食事制限で改善されます。

 

・1日2食の効能

① 腸の改善

 ・朝、良い便通が出るようになる。

 ・朝すっきりと起きれて、胃もたれがなく朝食がおいしい。

 ・寝ることによる疲れの改善度合いが高まる。

 ・コレステロール値の改善

 ・げっぷやガス、胸やけ・逆流性食道炎などの気滞症状が改善

② 腎の改善

 ・足の冷え・腰痛・下肢のだるさが改善

 ・糖尿病の改善

 ・老化(肌・髪・骨・歯・精力減退など)の改善

 ・夜間尿の消失(朝の尿量は増える)

 ・アレルギーの改善(花粉症・じんま疹などの湿疹など)

③ その他

 ・食事3回分の時間が2回分に。(つくる時間も食べる時間も優雅に)

 ・夜が落ち着いた時間になる。(18時以降は自由時間)

 ・睡眠がよくなる。(睡眠前に体温が適切に下がる)

 

・1日2食のコツ
① 昼食をなるべく遅く多くとる。

 江戸時代の食事リズムをみるとわかるように、本来食事は午前8時、午後3時ぐらいが理想です。現代生活ではなかなか実現しにくく、僕自身も朝8時半〜12時半、14時〜18時までは診察をしているので、休日はできても仕事のある日は実現できません。そこで意識をすると良いのが、昼食をなるべく遅く、多めにとる。ということです。

 僕は6時前後に起きるので、朝は一仕事をして、仕事に向かう直前に朝食をとるようにしています。僕は大食漢なので、朝からご飯を3杯食べることも稀ではありません。また13時には、ソバ大盛り+天丼とか食べることもあります。すると居酒屋に行く頃はまだそれほどお腹も空いておらず、お酒と塩と漬物で、ちびちびとやって帰宅して22時ころには寝ます。

 昔は居酒屋行って、ラーメン屋でしめて。みたいなことをしていたので、研修医がやる胃カメラの実験台になったときには、大きな逆流性食道炎がありました。今思うと、朝はだるく、便通が不調になったのも研修医のころからでした。採血もカメラも、研修医のころから一度もしていないので、今はどうなっているかわかりませんが、胸やけもしないので、おそらく治っています。

 朝は食べれない。という人が多いですが、それは夜食べているからです。でも不思議と、夜に空腹で寝ても、朝起きてすぐに朝食が食べたい!とはならないのも不思議なものです。からだも起きてすぐには、夜モードから朝モードには切り替えられません。

 

 ② 「べき・ねば」で頑張らない。

  夜食べないと寝れない。という人もいます。これは夜の食事が常習化していることによる欲求なので、遅くとも2週間程度で、夜は食べたくない。と思えるようになってきます。そう思えるようになるまでは、「べき・ねば」という気持ちで夕食抜きに挑まないことが大切になってきます。睡眠時は「べき・ねば」という感情によって、心身が硬直してねむりにくくなってしまうからです。そこで、その思考を「いい・たい」に変えます。つまり、ここで食べなければ、明日の朝調子が「いい」、一日中体調が「いい」。寝る間際になってパスタが食べたくなったら、明日の朝はたっぷりパスタが食べ「たい」、さらにあれも食べちゃい「たい」と、未来の希望を膨らませると、心身がゆるみ、良い睡眠へとつながります。

 最初の2週間で、遅い夕食への中毒症状は改善しますが、潜在意識や無意識を塗り替え、その生活が習慣として意識レベルまで変わるには平均66日かかると言われています。夜の入眠時は、潜在意識へと切り替わる時間帯なので、その時間に楽しいことを考えると、からだだけではなく、日常の意識全体が書き換わって習慣化してきます。

 

③ 腹が減ったら塩スープ

 夜、あとちょっとで何も食べずに眠れるのに、どうしても食べたい!そういう時が僕にもあります。そんな時に、自然塩でつくられたスープを飲むと、2時間ぐらいは空腹感がおさまります。人間の食欲にとって塩分というのは、大きな要素だからです。

 スープでなくても、塩湯だけで十分なのですが、ビギナーの方は塩湯に抵抗がある方もいらっしゃると思います。そんな方は、とろろ昆布や干しキクラゲを塩湯に混ぜるだけでもカップラーメン的な満足感があり、「塩を飲んでるってやばいんじゃないの?!」っていう、社会におしつけられた間違いによる不安をなくしてくれます。他にも、だし汁や、野菜スープを用意しておいて、最初の2週間はそれで空腹感を紛らわしたという方もいらっしゃいます。要は、夜の糖質摂取を減らしながら、心身のリズムを整えることが大切です。

 

まとめ

 ながらく書きましたが、「老い」というものは、腎の弱りです。四〇を過ぎて来ると、じわじわと腎の弱りで困る方が増えてきます。その典型的な症状が、夜尿や足の冷え、骨粗鬆症、腰痛・ひざ痛などです。40以下でも、熱っぽい生活(遅い睡眠、乳製品や家畜の過剰摂取、過度のストレスetc.)に傾きやすい現代生活では、熱によるアレルギー(花粉症、アトピーetc.)などには、熱を尿として排泄するなどの腎の働きが、相対的に弱っていることが関係しています。

 これらの症状を改善するためには、小手先のいろいろな食養生や漢方薬がありますが、

①  遅い食事(夏なら19時前、冬なら17時前程度)を控える(とくに炭水化物などの糖質)

②  自然塩の積極的な摂取(朝よりも夜に。食事よりも単独摂取のほうが効果的)

 この二つの食養生を実践することで、初期の夜尿や腰痛などは、ものの数日で治すことができます。このことは、人間の身体にとって、一日の中における「リズム」の重要性を示しているのです。

 やってみて悪いことはほとんどないと思います。食養生は2週間続けると安定してきます。夜の空腹感もすぐに感じなくなり、「あぁ〜夜にこんなに食べたくないなぁ」と思えるようになります。ぜひ一度試してみてください。それが、漢方薬の内服量を減らしていくことを手伝ってくれます。